建設業許可を受けて経営している建設業者が亡くなり、その建設業許可をご家族等が受け継ぐ場合に問題となるのが相続を原因とする「許可の承継」です。許可の承継が認められれば許可を取り直す必要がなくなり、これまでの実績をそのまま生かすことができます。
この記事では、相続による許可の承継についてその手続きを詳しく説明します。
建設業許可の承継とその効果
許可の承継とは?
建設業許可を受けている建設業者が建設業の全部を他の者に承継する場合をいいます。引き継がせる方(被承継者)が亡くなってから相続人が引き継ぐ場合は、「相続」として許可の承継が可能です(個人事業主の場合のみ)。
許可の承継の効果
・建設業法上の建設業者としての地位を空白期間なくそのまま承継することできる。
・建設業者として受けた被相続人の権利・義務、監督処分や経審の結果も当然に承継する。ただし、罰則は行為者本人に向けられるものであるため承継しない。
・許可番号:原則被承継者の許可番号を使用する。もっとも、承継者も既に建設業許可を受けている場合は、自身の番号を選択することができる。
・許可の有効期間:被承継者の死亡日から5年
これまでの運用では、親の建設業許可をいったん廃業しなければならず、新たな許可を取得するまでの間は500万円以上の仕事を受注できないなど不安定な状態を余儀なくされていました。
この相続による許可の承継が認められることによって、建設業法上の建設業者としての地位を空白期間なくそのまま承継することができ、安心して建設業を継続することができるようになりました。
「許可の要件」が認められるための要件
①被相続人死亡後30日以内に許可の承継についての申請を行い、認可を受けること
②被承継者の建設業の全部(許可業種の全部)を承継すること
③被承継者と承継者が同一業種について異なる区分(一般・特定)の許可を受けていないこと
④承継後のすべての業種について相続する承継人が許可の要件を満たしていること
要件についての注意点
・被承継者の建設業の全部を承継することが必要
→承継しない業種は、認可申請前に廃業しておくこと
・被承継者と承継者が同一業種について異なる区分の許可を受けていないことが必要
→区分(一般・特定)が同一でない場合は認可申請前にどちらかを廃業しておくこと
認可申請 必要書類
譲受人の建設業許可の有無によって必要書類が増減します。こちらでは、必要書類が多い許可なしの場合をご紹介しますので、目安として把握するのにご利用ください。
ご自身で申請をお考えの場合は、管轄自治体の情報を必ずご確認ください。
・申請書 ・営業所の一覧表 ・専任技術者一覧表 ・工事経歴書 ・直前3年の各事業年度における工事施工金額 ・使用人数 ・誓約書 ・常勤役員等証明書 ・常勤役員等の略歴書 ・常勤役員等と直接に補佐する者の証明書 ・令第3条使用人の一覧表 ・許可申請者の住所、生年月日等調書 ・令3条使用人の住所、生年月日等調書 ・貸借対照表 ・損益計算書 |
・営業の沿革 ・所属建設業団体 ・主要取引金融機関名 ・登記されていないことの証明書 ・身分証明書 ・履歴事項全部証明書 ・納税証明書(県税) ・健康保険等の加入状況 ・誓約書(保険加入)
・申請者と相続人との続柄を証する書類 ・申請者以外の相続人全員の同意書(申請者以外に相続人がある場合。申請者が被相続人の建設業許可業者としての地位を承継して建設業の営業を行うことに対する同意)
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まとめ
相続開始後30日以内に認可申請をし許可を承継することができれば、相続人の方のメリットはとても大きいです。
しかし、多くの必要書類を揃えること、場合によっては認可申請前の業種廃業、相続人全員の同意を得るなど判断・準備すべきことは多く、30日というのは十分な時間とは言えません。
特に許可をお持ちではない相続人が承継する場合は、建設業許可を新規に取得する場合と同様の負担となりますので、注意が必要です。
申請のタイミングを過ぎた場合は承継のメリットは受けられません。スケジュール管理をしっかり行いながら慎重に手続きを行うことが重要です。
建設業許可の承継手続きについてご心配の場合は、行政書士にご相談することも一案です。
※当サイトの情報は、一般的な参考情報を提供する目的としております。ご自身で手続きを行う場合は、申請予定の行政機関が公表している最新情報を確認することをおすすめします。
行政書士中川美加事務所では、建設業許可申請の手続きサポートを行っています。
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