こんにちは。愛知県春日井市の行政書士中川です。
当事務所では、遺言書の作成や相続手続きをお手伝いしています。

 

ご夫婦で築いた財産は、ご夫婦の今と未来のために使いたいと考えることも多いかと思います。
しかし、ご夫婦にお子様がいない場合、相続時には兄弟姉妹やご両親等が関わり、相続手続きが難しくなることもあります。
そのような場合に備えて、あらかじめ遺言書を作成しておくことが大切です。

 

 

民法上の相続分は?

 

民法900条は法定相続分を以下のように規定しています。

 

・配偶者とご両親(直系尊属)が相続人となる場合の法定相続分はそれぞれ3分の2と3分の1

・配偶者と兄弟姉妹が相続人となる場合の法定相続分はそれぞれ4分の3と4分の1

 

お子様がいないご夫婦の場合は、ご夫婦で築いた財産であっても、ご両親や兄弟姉妹に一定割合の法定相続分が生じます。そのため、そのような法定相続分とは異なる相続分にするためには、遺言書による準備が必要です。

 

 

遺留分への配慮が必要な場合も

 

ご夫婦の一方が万が一の場合はすべての財産を残された方が相続できるように、「遺言者の有する一切の財産を妻○○〇〇に相続させる」のような遺言書を作成することがあります。しかしその場合は、遺留分について考えておく必要があります。

 

遺留分とは、兄弟姉妹以外に法律上認められる相続財産のうちの一定割合のことをいいます。
民法1042条では遺留分の割合を、直系尊属のみが相続人の場合は相続財産の3分の1、それ以外は相続財産の2分の1と規定しています。つまり、残された方にすべてを相続させたいというご夫婦の意向に関わらず、法律上ご両親等に遺留分としての相続分が認められています。

 

そのため、「一切の財産を○○○○に相続させる」という内容の遺言書を作成した場合、兄弟姉妹以外から遺留分侵害請求権(民法1048条)を行使して侵害額として一定割合を請求される可能性があります。あくまで可能性ですのでケースバイケースではあるものの、遺留分請求を考慮した遺言書作成が必要になってきます。

 

もっとも、兄弟姉妹から遺留分請求をされることはありませんので、「一切の財産を配偶者に」遺言を作成するメリットはやはり大きいと思います。

 

 

このように、ご夫婦にお子様がいない場合は、あらかじめ遺言書を作成しておくことが有効な方法です。
ご夫婦でお互いに「一切の財産を配偶者に」遺言を作成しておけば、なお安心につながるでしょう。
気になった時がタイミングです。遺言書作成を始めてみることをおすすめします。

 

 

 

当事務所では公正証書遺言の作成や相続手続きをお手伝いしています。

 

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