自筆の遺言書を見つけた相続人は、まずその遺言書について裁判所の検認を受けなければなりません。また、自筆証書遺言は形式が厳格に決まっているため、その形式通りに作成されていないとせっかく書いた遺言書の効果が認められません。このような気になる点があった自筆証書遺言ですが、遺言書保管制度を利用すれば裁判所の検認は不要なうえ、形式面のチェックを受けることができるようになりました。

こちらでは遺言書保管制度とはどのようなものか、利用のメリットや注意点とともにご紹介します。

 

ご紹介するのは、愛知県春日井市の行政書士中川です。
当事務所では、遺言書の作成や相続手続きをお手伝いしています。

 

 

遺言書保管制度とは

 

自筆証書遺言について法務局が形式をチェックのうえ保管する制度です。遺言者が自宅などで遺言書を作成し大切に保存しておいたとしても、相続人が発見できない場合もあります。また、発見されたとしても改ざんや破棄など手を加えられてしまう危険もあります。この制度では法務局で長期間にわたり適正に保管されますので、そのような危険を防ぐことができ安心です。これ以外にも以下のような多くのメリットがあります。

※保管期間:遺言書原本は遺言者死亡の日から50年間、遺言書の画像データを含む情報は、遺言者死亡の日から150年間

 

 

遺言書保管制度 利用のメリットと注意点

 

1 遺言者にとってのメリット

 

〇遺言書の紛失・破棄・隠匿・改ざん等を防ぐことができる

〇法務局への支払費用が安い (遺言書1通につき3,900円 2022年現在)

 

 

2 相続人にとってのメリット

 

〇裁判所による検認は必要ない

遺言書を見つけたら「裁判所の検認手続き」 | 行政書士中川美加事務所|愛知県春日井市 (nakagawa-office.com)

〇遺言者が死亡後、法務局から遺言書が保管されている旨の通知が相続人1人に対して届く(遺言者の希望がある場合のみ)

〇法務局で遺言書を閲覧したり、遺言書情報証明書の交付を受けることができる

〇上記の閲覧・遺言書情報証明書交付受取りを相続人の1人が行った場合は、他の相続人全員にも遺言書が保管されている旨の通知が届く

 

法務局から通知が届くか閲覧することで、相続人は遺言書の存在にいち早く気付くことができます。紛失・改ざんの恐れもありませんので、遺言書保管制度は遺言者・相続人双方にとって安心できる制度といえると思います。

 

 

3 注意点

 

ただし以下のような注意点もあります。

〇法務局は遺言書の形式面をチェックするだけであり、内容の有効性を保証しない

〇遺言書保管申請には、管轄の法務局に予約後、書類持参のうえ本人が行かなければならない

〇原則的には遺言書の内容はすべて自筆で書く必要がある

〇遺言書記載のルールが多く、間違いの都度ルールに従って修正、場合によっては書き直しが必要

 

遺言書保管制度は自筆証書遺言を保管してくれる制度ですので、遺言書の内容すべてをご本人が自筆で書くのが原則です。その他作成のルールがありますので、作成の負担はやや大きいかと思います。

 

作成のルールについてはこちらをご覧ください。

【遺言書保管制度】自筆証書遺言作成のルール | 行政書士中川美加事務所|愛知県春日井市 (nakagawa-office.com)

 

遺言者本人が管轄の法務局に行く必要があります。管轄については、遺言者の最後の住所地・本籍地・不動産の所在地のうち任意で法務局を選択することができます。遺言者にとって一番便利な法務局を選択するとよいでしょう。

 

例:愛知県を管轄する名古屋法務局の場合:本局・春日井支局・一宮支局など 

  春日井支局管轄:春日井市・小牧市・瀬戸市・尾張旭市・犬山市・丹羽郡

07 管轄/遺言書保管所一覧 | 自筆証書遺言書保管制度 (moj.go.jp)

 

 

公正証書遺言との比較

 

公正証書遺言では2人の証人が必要ですが、遺言書保管制度では遺言者が法務局に行くことで足ります。また、公証役場に支払う費用がかからないことから費用は安く済みます。

 

しかし、公正証書遺言の場合には、公証人が内容や遺言能力等様々な面を考慮しますが、遺言書保管制度では内容面のチェックは一切ありません。また、健康上の理由で遺言者が出頭できない場合、公正証書遺言では公証人が出張してくれますが、遺言書保管制度では出張してもらうことはできず、制度自体利用できません。

 

上記のように公正証書遺言と遺言書保管制度には一長一短があります。遺言者の方や相続人の方の事情からみて、より適切な方法を選択してください。

 

ただ、遺言書はその内容を実現させたいという思いから書かれることが多いと思います。遺言書保管制度を利用したいものの、内容に不安があったり、より確実に遺言書の内容を実現させたい場合は、あらかじめ専門家へ相談するか、公正証書遺言作成をおすすめします。

 

 

当事務所では公正証書遺言の作成や相続手続きをお手伝いしています。

 

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〇行政書士中川美加事務所|遺言書作成・相続手続ページ

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